類家心平

勿論いい意味で「歪んだ」インストゥルメンタルの上に、美しく情報量の多い声が素晴らしいバランスで絡み合い、聴くたびに心地よく裏切られ巧みに洗脳されていく。「チロの目」には壮大な宗教観を感じずにはいられない。
人間そのものが二律背反であるように歪んだ美しさこそ真の美しさだと思う。
このアルバムを聴くとそんな絶妙なバランス感覚の妙に引き込まれていく。
そして何より緻密で複雑な楽曲が微塵も嫌味がなくポップに響いてくる事がこのバンドの恐ろしさの一つではなかろうか。ミュージシャンとして大きく見習いたい。
兎に角早く生で味わいたい。
このバンドが創り出す目に見えない薄い膜の中で心ゆくまで生の音を浴びたい欲求を抑えながら、後何回音源を聴く事だろう。

類家心平